Qwertyの部屋

アコライト、時々、相談所。アヴァベルオンラインをプレイしつつ、バーチャルの世界からリアルを考えるブログ。

コミュニティの必要性 ~オンラインゲーム研究その3~

こんにちは。Qwertyです。

 

今回は本ではなく論文をもとに書いてみたいと思います。

 

…そうです。次の本が読み終わるまでの繋ぎですw

このままだと2週間に1つくらいしか書けないので、こういった記事も挟むことにしました(^ω^)

 

今回の題材は以下の2つです。

 

Conflict Management in an Online Gaming Community

Aldo de Moor, Jaap Wagenvoort

Proceeding of the Community Informatics Research Network 2004 Conference 

 

Collective Solitude and Social Networks in World of Warcraft

Nicolas Ducheneaut, Nicholas Yee

Social Networking Communities and e-dating servicies: Consepts and implications (pp. 81-103)

 

1つ目はオランダのティルバーグ大学からの論文です。かなり有名な大学みたいですね。

 GPChampionshipという、レーシングゲームのコミュニティを題材に、ネット上のコミュニティにおけるいざこざの乗り越え方について述べられています。

 

F1のレーシングシミュレータのようなものみたいですが、年間のレーススケジュールや各レースでのポイントなどが決められており、参加者は年間チャンピオンを目指して競い合っているようで、実際のF1にかなり近いものがあるようです。

 

このコミュニティには700人を超える参加者がいて、運営はRace Directorsと呼ばれるメンバーによって行われています。1年に一回、League Consultantsと呼ばれるメンバーが全構成員の中から選挙で選ばれ、彼らがRace Directorsに助言する形を取っているほか、Court of Appealと呼ばれる組織も作られています。

このCourt of Appealは裁判所のような役割をしています。運営に関わらない者のみで構成されており、ジャッジに関しては運営サイドの判断を覆す力を持っているとのこと。

このような複雑な形式を取り、適宜構成員の意見を聞くなどして、全体を巻き込んでの運営がなされているようです。

 

ゲームの世界で、分権制まであるような、ものすごく本格的な運営がなされていることには驚きました。常に順位などの結果が絡んでくるので、ここまで厳密な運営が必要なのかもしれませんが、MOGの世界とはちょっと違うような感じがします。

 

 ネット上のコミュニティを維持するためには、いざこざの処理が不可欠、と書いてあったのですが、逆に「なぜそこまでして続けるのか」という感覚もわいてきました。「運転が好きだから」と書いてはあったのですが・・・。

 

運営が大変なのは、何もバーチャルの世界に限ったことではありません。現実に、大きな勢力がひと月弱で完全に解体してしまったところを見たこともありますし、一つのいざこざがあっという間に全体に波及し、組織が瓦解することは珍しくないでしょう。

 

生物が単独で行動しないのは、それが生存上有利だったからのはず。ヌーたちはみんなでワイワイしているのが楽しいから一緒にいるわけではなく、必要だから一緒にいるのでしょうし、川を渡るときに踏みつけられようとも、「もうお前らと一緒になんかいられるか!こんな群れ抜けてやる!」などと言ってはいられないのです。

 

人間も同じです。外敵から身を守らなければなりませんし、狩りをするにも仲間が必要。農耕だってたった一人などできません。たとえ嫌でも、生存のためにはどこかの集団に属している必要がありました。村八分がどれほど恐ろしいことだったかは想像に難くありません。

 

しかし現代では、村八分程度であれば、遠く離れたところに引っ越すなどして難なくクリアできます。「世界」八分レベルになるとさすがに厳しいものがありますが、これだけ広い世界でそれはそうそう起こらないでしょう。

ネットで買い物もできますし、誰とも交流しなくても生きていけるような時代が徐々に近づいてきています。

 

本当に全く一人で生活する、つまり、水、食料、住居などを一から自分の手で確保していくことは、まだそう簡単なことではありませんが、もし技術が進歩してそれが可能になったとしたら(ドラえもんなら可能でしょうw)、生存のためにコミュニティに所属している必要はなくなります。

 

一緒にいたくなければ離れてしまえばいい。ネット上のコミュニティでは、それが簡単にできてしまいます。だからこそ、それを維持するためには、現実世界以上にその必要性をメンバーが認識している必要があるでしょう。GPChampionshipの皆さんは、本当に運転がお好きなのだと感じました。

 

ここで、2つ目の論文に移ります。

著者は、偶然にも両方ニコラスさんw

 

World of Warcraft(WoW)という超有名なゲームを題材に、プレイヤーの動きを分析することで、「弱い繋がり」の重要性について述べています。

Collective Solitudeというのは、"play surrounded by, but not necessarily with"、つまり、周りに他のプレイヤーはいるけれど、一緒にプレイしているわけではないような状態を指しています。

 

まず目を引くのが、職種とレベルによるソロプレイ率の差。

●アコライトに相当する役職はソロプレイ率が低く、逆にガンガン敵を倒していけたり、単独でも生存率が高かったり、という役職ではソロプレイ率が高い

●開始直後のプレイヤーの中ではグループで行動する割合は10%未満だが、レベル50(ちなみに最大レベルは60)を過ぎたころから急にその割合が増え、レベル60では60%近くに達する

 

MOGはプレイヤーが多数いるからこそ成り立つ部分もあるので、運営サイドは当然グループを組まないと達成できないような目標を作ってきます。

最大レベル近くになってハイエンドコンテンツに挑戦するようになると、必然的にグループを組む必要性が出てきますから、納得しやすい結果ではないでしょうか。

そういえば、アヴァベルにはハイエンドコンテンツってないですよね(・ω・)

 

一方で、レベルはソロプレイの方が上がりやすいようです。アヴァベルだと、パーティーを組んでいないと進めないようなところは基本的にはないため、あまり実感が湧かないかもしれませんが、出発前に作戦会議などをあーだこーだしないといけないとなると、「ひとりで行けるならそっちの方が早い( ̄▽ ̄;)」となってしまうのもわかる気がします。

 

この後、ギルドについての分析もなされるのですが、ギルド内の人のつながりは実は意外と薄いということが示されます。確かに、交流戦や塔など、イベントがある時には一斉に集まりますが、それ以外の時もいつも一緒♡・・・ということはないですよね。

大体5人ほどの、職業バランスの取れた、ある程度繋がりの強いサブグループが、ゆるーく結び付いている、という形が理想のギルドだそうです。このくらいの繋がりがベスト、というのは現実の世界でも同じようで、MOG内のグループを研究することで、仕事の能率化などに活かせるのではないか、という話もありました。

 

前に読んだ本にも、強い繋がりばっかりなのではなく、弱い繋がりをたくさん持っている人の方が強い、ということが書いてあったので、今の時代においてはある程度コンセンサスの得られた話なのでしょう。

 

でも結局、コミュニティというか、人とのつながりというのは「必要」「有用」という文脈で語られている印象を受けます。考えてみれば、「ベストな繋がり方」などという言葉が出てきている時点で、かなり寂しいことになっているのかもしれません。

 

人は必要だから人とつながっている、なんてことを口走ったら、

 

「そんなことはない、楽しいから一緒にいるんだ!」

「そんなこと言うなんて、なんて寂しい人なの・・・」

 

などという反論がそこかしこから聞こえてきそうですが・・・

 

そもそもなんでみんなと一緒にいると「楽しい」のでしょうか?

この言葉の意味は、なぜそのような場面で「楽しい」と感じるように人間ができているのか、ということです。

 

他人から認められたら「嬉しい」ですし、一人だと「寂しい」し「不安」。基本的に私たちは、他者と何らかの関わりがある状態をプラスのイメージで認識しています。

進化の過程で感情が消えなかったのは、生存上有利だったからのはず。だとすれば、上記の感情すら、私たちがより望ましい状況を判別するために「必要な」道具、という文脈に吸収されてしまうかもしれません。

 

感情があってこそ人間。でも、「情に流される」という言葉が表す通り、感情があるからこそ合理的な決断ができない面も多々あります。

もしコミュニティを形成する必要がなくなって、「一人だと寂しい」という感情が逆に邪魔になったとしたら、感情が退化していくなんてことが起こるのかもしれません。

 

ちなみにこの話、「一人」という単語が結構出てきますが、それだと語れないものがあります。

それは生殖と次世代について。

これはまた長くなってしまう話なので、いずれどこかで書きたいと思います。

 

やっぱり「必要だから」ではなく「楽しいから」ギルドにいる、と思いたいものですよね。みんなでワイワイできる環境を整えて下さっている、マスターをはじめとする幹部の方々にはとても感謝していますm(__)m

 

 さて、交流戦に向けて準備準備ᕦ(ò_óˇ)ᕤ

 

ではまた(*゚▽゚)ノ