Qwertyの部屋

アコライト、時々、相談所。アヴァベルオンラインをプレイしつつ、バーチャルの世界からリアルを考えるブログ。

“Multiplayer Online Games”を読んで 〜オンラインゲーム研究その2〜

こんにちは。Qwertyです。

 

やっと2冊目が読み終わりました(ーー;)

というか、2番目に読み始めた本がなかなか終わらず、後から読み始めたこちらを先に読み終わってしまいましたw

 

今回ご紹介するのはこちら。

 

Multiplayer Online Games 

 Origins, Players, and Social Dynamics

Guo Freedman著

 

参考文献を抜かすと120ページ程の短めの本で、入門書のような印象でした。

 

MOG(Multiplayer Online Games)の起源は、1978-79年頃に開発されたMUD(Multi-User Dungeons/Domains)。この本には記載がありませんが、MUDが参考にしたのがTRPGテーブルトークRPG)の「ダンジョンズ&ドラゴンズ」シリーズであると言われています。イメージとしてはRPGボードゲームにした感じのようで、今も新しいものが発売されています。

最初は画像ではなく文章で構成されているものがほとんどだったようですが、技術が進歩し、graphic MUDと呼ばれるものが登場します。有名なものとしてはUltima Onlineが挙げられていますが、なんとこれ今も現役だそうです。息が長いですね・・・。

 

ふんふん、なるほど…と思いながら読み進めていくと、グローバリゼーションについてこんな文章がありました。

"The booming MOG industries in non-Western countries show the countries' efforts to adjust to globalized, Westernized capitalism, at the same time that they provide the countries the opportunity to express their voices and demonstrate their modernization on the world wide stage."(P.23)

ずいぶん上から目線だな…と感じます( ̄▽ ̄;)

MOG開発は非西洋諸国が「私たち、西洋の仲間入りをするために頑張ってます!」と言うためのいい機会だ、という風に考えているというのは中々のカルチャーショックです。

 

正直、ここで先に進む意欲がやや削がれましたw

 

プレイヤーのタイプ分けも紹介されており、例えばBartleの分類によると以下の4つに分けられます。

Achieverは力や財宝を求める人。レベルを上げたり武器を集めたり、強いボスを倒したり、といったことに価値を置く人々です。

Explorerはいろいろな情報や秘密を探索することが好きな人。いわゆる「小ネタ」を探す人たちでしょうか。

Socializerはほかのプレイヤーと話したり何かを共有したりすることが好きな人。ただ単に他のプレイヤーを眺めるだけの人も含まれるそうです。

Killerは文字通りほかのプレイヤーを倒すことが好きな人。無制限フィールドで暴れまわっている人とかにあてはまりそうですが、リーグ戦が好きな人も含まれるのかもしれません。

まあ私はAchieverとSocializerですかね(^ω^)

 

MOGプレイヤーの平均年齢は 23~26歳と意外と若くなく、30歳以上も3割ほどいるという報告もあるようです。学歴や職業についても記載があるのですが、総じて高学歴で安定した職業に就いている人が多いと述べられています。年収も一般より高いのだとか。意外なような気もしますが、課金の必要性を考えるとわからなくもないかも。

国籍については、何と7割以上がアメリカ人です!

 

・・・そろそろお気づきの方もいると思いますが、上記の結果はアメリカ発のゲームに対して行われている研究に基づいています。非英語圏のプレイヤーがかなり少ないというのは、言語の問題を考えれば当たり前の結果ともいえるでしょう(筆者はあくまでテクノロジーの問題を第一に挙げていますが・・・)。ただ、人種によって好まれるタイプが異なる可能性はあるみたいですね。

日本でこういう研究がなされているのであればぜひ見てみたいですが、どうやってデータを集めるのか、という問題もありますし、実際には難しいかもしれません。

 

その後、MOGのソーシャルダイナミクスについて述べられているのですが、印象的だったのはアバターを介してのコミュニケーションについてです。ネット上のコミュニケーションというとメールやチャットなどを思い浮かべますが、MOGではアバターが介在しており、文章だけのやり取りとは確かに感覚が少し違います。

バーチャルと言えどその見た目は少なからず行動に影響するようで、私も以前、相手のアバターがかわいい犬の着ぐるみからとげとげしい鎧に変わったときに少し距離感を感じた経験があり、実体験として理解できる面がありました。

相談所をやっている時は「5周年(≧∀≦)キラキラ」のような装飾品はつけないようにしていたのですが、改めて考えてみると、私が発する言葉はアバターの醸し出す雰囲気の影響を受ける、ということを無意識に感じていたのでしょう。

 

個人的には、Schultheissらの”playing solo”やDucheneautとYeeの”collective solitude”も気になるところです。前回読んだ「ゲームする人類」にはドラクエXの「80%以上のプレイヤーがソロでプレイしている」(P.125)と書いてありますし、現代人の心性を表すヒントが得られるかもしれません。こちらは後で読んでみようと思います。

 

研究をするにあたっては、やはりプレイヤーのプライバシーにどう配慮するのかが問題になるようです。最初から同意が取れていればいいのでしょうが、ゲームの説明に「あなたのデータは将来研究に使われる可能性があります」と書いてあったら、例え「個人が特定されないように配慮します」などと言われてもダウンロードしづらいでしょうし、なかなか大規模にやっていくのは難しいのかもしれません。

 

参考文献の中にはいくつも気になる論文があるのですが、それらを調べた際に、どうやら世界にはCyber psychologyなるものがあるらしいということも知りました。これからの時代には必要な学問かも。

 

だいたい感想はこんなところです。興味があったら読んでみてくださいね(^ω^)

 

さて、次回作をアップするのはいつになることやら・・・(ーー;)

 

ではまた(*゚▽゚)ノ